第1 はじめに
仕事を始めて以来、私は、実用書を中心に多くの本を読んできました。言うまでもなく、仕事の質を向上させるためです。
働きながら一定量の読書をこなすというのは、想像以上に難しいことでした。余暇の総時間数が限られており、まとまった読書時間を確保できるとは限らないからです。
そこで本日は、限られた時間の中で効率的・効果的に本を読むために、私が試行錯誤して編み出した読書の方法論を紹介したいと思います。
第2 読書の目的を明確にする(目的論)
1 読書の「目的」とは?
私たちは、貴重な余暇をどのような活動に振り向けるかという問題に直面しています。そのような余暇をあえて読書に費やそうとするのであれば、読書には明確な目的意識が必要となります。
すなわち、「なぜ本を読むのか?」という問いを常に持つということです。
このことは様々な「読書法」「速読法」で語られる、言い古された格言ではありますが、確かに読書の質を飛躍的に向上させる効果があります。
2 読むべき本を限定する
(1) 全ての本を読むことはできないし、読む必要もない
読書の目的を明確にすることの効用としては、読むべき本を限定することができる点が挙げられます。これには3つの含意があります。
第1に、そもそも読書の目的から外れる本は読む必要がないということです。
第2に、読書の目的があるとしても、他の手段によって目的が達成できる場合に、あえて時間を掛けて読書をする必要はないということです。
第3に、読書の目的があり、その目的を達するために読書が最良の手段であるとしても、あえて何冊もの同種の本を読む必要はないということです。
以下、順次説明していきましょう。
(2) 目的を欠く本は読まない
まず、あなたが何らかの目的(ある分野の知識を得たい、自己啓発したいといった、etc.)を持って読書をしようとしているのであれば、そのような目的を満たさない本は読む必要がありません。
本好きの人がしばしば陥りがちですが、目的を意識することなく読書していると、読書自体が目的化してしまうことがあります。
時間の余っている学生時代であれば問題はありませんが、余暇の限られている社会人にそのような余裕はありません。
(3) ネット検索で事足りてしまうこともある
次に、あなたの目的を達する手段は読書だけではありません。現代においては、様々な情報獲得手段があり、とりわけインターネット検索で前記目的を達成できることも少なくありません。
読書は一定の時間とお金の投資を伴うものです。インターネット検索のような手段で目的を達することができ、しかもそのほうが低コストであれば、あえて読書をする必要はないのです。
(4) 目的のための最良の一冊を読む
そして、目的を達する最良の手段が読書であったとしても、あなたはその目的に沿う最良の一冊だけを読めばよいのです。
最良の一冊を探す方法の要点は以下のとおりです。
・ 各書籍の目次を読む
・ Amazon検索のランキング、点数、レビューの数・内容を比べる
・ 書評ブログを読む
要するに、予め本の内容を大雑把に把握しておくことが重要です。
3 読む部分を限定する
さらに、そのようにして選んだ「最良の一冊」の中にも、読書の目的に関係のない部分が含まれていることがあります。
そのような場合、まず目次を概観した上で、読むべき部分・読むべきでない部分を区別します。そして、大胆に飛ばし読みしていくのです。
第3 高速大量回転法(手段論)
1 「高速大量回転法」とは?
さて、これまで目的論について述べてきましたが、ここからは手段論に入っていきたいと思います。すなわち、①読書の目的を定め、②そのような目的を満たす最良の一冊が決まり、しかも、③最良の一冊の中でも読むべき部分・読むべきでない部分が決まった後、どのようにして効率的・効果的に読書を進めていくかがここから先の問題になります。
そのような手段として、私が勧めるのが、宇都出雅巳氏が提唱する「高速大量回転法」です。
2 具体的方法
「高速大量回転法」の要旨は以下のとおりです。
① 最初の2~3分で目次を5~10回転する
② まえがき・あとがきを5~6分で10回転する
③ 5~6分かけて本文を見出しの拾い読みをしながら3回転する
④ 15分で自分の気になった言葉・箇所を中心に本文を回転読みする
(同書p.121)
この方法を使えば、どんな本でも30分で「読める」(注:「要約が言える」程度に内容を理解すること(同書p.111))ようになります。
その詳細や、30分で本が読めるようになる理由については、前掲書をお読み下さい。
第4 おわりに
以上、私の読書法持論を紹介しました。
多忙な社会人の方の参考になれば幸いです。