弁護ハック!-若手弁護士によるライフハックブログ

「弁護士 × ライフハック × 知的生産」をテーマに、若手弁護士が日々の”気付き”を綴ります。

弁護士の整理法 ~書類探しの手間を省く3つのルール~

第1 私のデスク周り

 

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 私のデスク周りです。自分で言うのも何ですが、かなり綺麗なほうだと思います。

 ところで、私は普段から3つのルールに基づいてデスクの整理を行っています。

 すなわち、①紙で保管する必要のないものはデータ化する②紙で保管する必要のあるものについて保管のルールを確立する③デスクに出すのは一度に一案件とする、というものです。

 本日は、思いつくままに私の実践している整理法について書いてみたいと思います。

 

第2 弁護士会からのFAX等 →PDF化してEvernoteへ

 1 紙に振り回されていた従来の状況

 同業の方であればわかると思うのですが、弁護士の事務所には、弁護士会や業者などから一日に何回もFAXや郵便物が届きます。例えば、研修のお知らせや法律相談の割振りなどです。

 また、月例の委員会や年に2回開かれる総会の後には、膨大な量の資料が手元に残ります。

 こういった書類を、従来、私は紙のままで保管していました。その量はバインダー約10冊分。こうなると、たった1枚の紙を探すために膨大な紙を引っ張りださなければならず、書類探しに無駄な時間を費やしていました

 

 2 スキャナーを導入してからの変化

 しかし、あるとき気付きました。データで管理すればいいじゃないかと。そこで、バインダー約10冊にもなった書類群を、思い切ってスキャナーに取り込みました。

 

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 私のスキャナーです。ここに取り込むことにより、自動的にEvernoteにファイルが保存されるようになっています。

 そして、Evernoteの何よりの強みが強力なOCR機能(文字認識機能)です。

 OCR機能と検索エンジンのおかげで、これまで記憶に頼って手作業で探していた資料を、瞬時に取り出せるようになりました。委員会活動などでは、意外に過去の書類を参照することが多いため、書類探しの手間が省けたことは大きな効率化をもたらしました。

 

第3 事件関係書類 →押し出しファイリング方式

 1 紙で保管する必要のある書類

 これに対し、一定の書類はデータ化に適さず、紙のままで保管する必要があります。その典型は、証拠書類などの事件関係書類です。

 しかし、その量もやはり膨大になるため、紙の書類の保管ルールを確立しなければ、書類探しに追われる羽目になります。

 そこで、私が徐々に確立していった方法が、押し出しファイリング方式です。

 

 2 押し出しファイリング方式とは

 押し出しファイリング方式とは、野口悠紀雄『「超」整理法』(中公新書)で紹介されている整理法です。

 本家押し出しファイリング方式は、次のように行うものとされています。

 

 (1) 角型2号の定型外封筒をたくさん用意する

 (2) 案件ごとに書類を封筒に入れて、本棚に立てる

 (3) 使った封筒は左端にしまう

 

 非常にシンプルな整理法です。

 この方法によれば、最近使った書類ほど左側に置かれているため、最近使った書類を探すときは本棚の左のほうを探せば見つかります。反対に、最近使っていない書類を探すときは、本棚の右のほうを探せば見つかります。つまり、時間軸によって検索を容易にするシステムなのです。

 

 3 私の具体的手法

 

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 私は、上記の押し出しファイリング方式を多少アレンジして使っています。

 具体的には、書類の保管には封筒ではなくクリアファイルを用いています。なぜなら、クリアファイルであれば中身の書類が見えるため、封筒よりも探すときに便利だからです。そして、クリアファイルの左上にはラベルを貼り、プロジェクト名がわかるようにしています。

 クリアファイルを本棚に立てる際には、ファイルスタンドを使用しています。各ファイルスタンドには、①進行中事件、②終結済事件、③会務、④弁護士業一般というラベルを貼り、書類の属性がわかるようにしています。

 また、本家押し出しファイリング方式では使った書類を左端に収納しますが、私は使ったものから右端に収納しています。この辺りは個人の好みなので、どちらでも構わないと思います。

 さらに、クリアファイルの中の書類についても、使ったものから上にしまっています。すなわち、ファイル内でも押し出しファイリング方式を適用しています

 

第4 デスクに出すのは一度に一案件(デスク上一案件の原則)

 最後に、デスクに出して作業するのは、一度に一案件と決めています。これには少なくとも2つの効用があると思っています。

 第1に、書類の紛れ込みを防ぐことです。仮に、一度に複数の案件の書類をデスクに出した場合、ある案件の書類を他の案件のクリアファイルにしまってしまう恐れが生じます。

 押し出しファイリング方式の本質は、”そこを探せば必要な書類が見つかる”という点にあります。つまり、ある案件のクリアファイル内にはその案件に必要な全ての書類が収納されていることが保証されていることが必要であり、書類の紛れ込みは決して許してはならないのです。

 また、第2に、デスク上には常に一つの案件の書類のみを出しておくことにより、現在行っているタスクが可視化されます書類を入れ替えるときはタスクを切り替えるときです

 デスク上一案件の原則は、ワークスペースの状態をタスク管理と連動させるものであり、現在実行しているタスクに集中することを促します。

 

第5 まとめ

 以上、私の実践している方法を紹介しました。

 おわかりのとおり、上記の方法は非常にシンプルであり、いずれも導入するのに手間は掛かりません。また、費用についても、スキャナーを除けば、クリアファイル、ラベル、ファイルスタンドなど安価で手に入るものばかりです(スキャナーについても、費用対効果は非常に良いので是非導入を勧めます)。

 私の整理法の大本には、整理とは検索の便宜のためにするものであるという前提があります。

 物に溢れた状態は検索を妨げます。そこで、デスクに物を溜めないためにデスク上一案件の原則が導かれます

 そして、保管している書類は、その保存形式に応じて常に検索可能な状態に置かれます。すなわち、データで保管している書類はEvernoteの検索エンジンで検索し、紙で保管している書類は押し出しファイリング方式による時間軸で検索が可能です。

 これから弁護士になる皆さんのご参考になれば嬉しいです。