弁護ハック!-若手弁護士によるライフハックブログ

「弁護士 × ライフハック × 知的生産」をテーマに、若手弁護士が日々の”気付き”を綴ります。

上司が教えてくれた「考える技術」

第1 はじめに

 この一年で学んだスキルのうち、最も重要なものは何だろうかと考えたとき、それは間違いなく「考える技術」だと断言できます。

 そして、具体的な技術こそロジカルシンキング系の書籍から学んだものの、基本的な考え方を私に教えてくれたのは、他ならぬ直属の上司(ボス弁)でした。

 そこで、本日は、「考える技術」について、私の思うところを記事にしたいと思います。


第2 「考えること」と「判断すること」

 1 上司の手足ではなく、頭脳になる

 イソ弁(勤務弁護士のこと)になりたての頃の私は、いわゆる「指示待ち社員」でした。何か問題が生じると、すぐ上司に報告し、どのように解決すればよいか指示を求めていました。

 しかし、そのような態度は、当然ながら叱られました。「考えろ」と何度も言われました。

 思い返せば、当時の私は、部下(イソ弁)は上司の手足として働くものだと思っていました。

 しかし、上司は数人いる部下にそれぞれ数十件の案件を割り振っている上、自分自身でも案件を抱えているわけですから、全ての案件について頭脳たることはできません。必然的に、部下が上司の頭脳となる必要があるのです

 そのことに気付いてから、私は部下の役割について考えを改めました。部下は、上司の頭脳として働かなければならないのです

 

 2 独断専行ではいけない

 考えることを学んだ私ですが、ある日、上司の許可を得ることなく仕事を進めたことがありましたその仕事が、その状況では誰もがその方法を選ぶような自明のものだったからです。

 ところが、そのことを事後報告したところ、私は、上司からこっぴどく叱られました。「君個人の案件ではないのだから、必ず事前に相談しろ」と言われました。

 今から振り返ってみれば、仕事のプロセスは常に「考える」→「判断する」→「実行する」の順序で成り立っています。そして、上司の案件である以上、判断は必ず上司が下さなければならないのです。

 したがって、上司の判断をすっ飛ばして実行に移してしまった私が叱られるのは当然のことでした。


 3 部下の役割、上司の役割

 そのような経験を通して、私は、部下の役割と上司の役割を学びました。
 すなわち、部下の役割は、考えて仮の結論(以下「仮説」といいます。)を出すことにあります。これに対し、上司の役割は、その仮説の採否を判断することにあります。

 言い方を変えれば、部下は適切な仮説を作ることに対して責任を負い上司は仮説を実行に移した結果に対する責任を負うということです。


第3 適切な仮説の条件

 1 疑問が残らない

 そこで、次なる問題は、適切な仮説の条件とは何か、ということです。

 

 さて、部下の役割を学んだ私ですが、その後も上司には「考えること」について何度も叱られました。ただし、単純に「考えろ」と叱られることはなくなり、その代わりに「十分に考えろ」と叱られるようになりました。

 十分に考えていないのは、仮説に疑問が残るためでした。「なぜ?」、「いつ?」、「どこで?」といった問いに対して答えが準備できていなかったのです。

 そこで、以後、5W1Hに照らして、仮説に疑問が残らないかどうかを精査するようになりました。


 2 Yes or No を迫ることができる

 疑問が残らない仮説は、上司に直ちに採否の判断を迫ることのできるものです。なぜなら、その時点で必要となる事実調査や情報収集を済ませているからです。

 そして、上司に仮説の採否を迫る際は、ほとんどの場合、Yes or No の形を取ります。

 確かに、いくつかの選択肢の中から自分で考えたいという上司に対しては、A or B の形で判断の迫るのが適切という場合もあります。しかし、そのような性格の上司でない限りは、2案を示す以上、「自分としてはA案が妥当と考える(なぜなら・・・)」というところまで意見を示す必要があります。

 結局、Yes or No が原則型になるのです。


 3 実行に結び付く

 そして、最後の条件として、仮説は、直ちに実行に結び付くものでなければなりません

 

 仮説思考の有名な比喩に、「空・雨・傘・紙」というものがあります(河瀬誠『戦略思考コンプリートブック』(日本実業出版社))。

 すなわち、

 

 ① 空を見上げると、濃い雲がかかっている(事実)

 ② 明日は雨が降りそうだ(分析)

 ③ 明日は傘を持って行こう(解決策)

 ④ 傘を忘れないために、紙を玄関に貼っておこう(行動)

 

 という4つのステップのうち、具体的な行動を指す④の段階まで仮説を具体化する必要があるのです。 


第4 終わりに

 以上、「考える技術」に関する私の考えを紹介しました。

 偉そうに書きましたが、私、今でも「十分に考えろ」と叱られています(苦笑)

 叱られることを通して、考えることがいかに我々知識労働者の仕事の基礎であり、同時に奥深いものであるかを日々実感しています。

 

 ところで、冒頭にも述べましたが、考える技術については、ロジカルシンキング系の書籍が非常に参考になります。末尾に参考書籍を掲げますので、興味のある方はお読みになってみてください。


第5 参考書籍

  

ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution)

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新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術

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考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

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  • 作者: バーバラミント,グロービスマネジメントインスティテュート,Barbara Minto,山崎康司
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入門 考える技術・書く技術

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戦略思考コンプリートブック

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■ 今週の注目記事

やることを管理しよう ー 自己管理のベーシックレシピ

 

 作業内容締め切りを明確にすることや、マスタータスクリストデイリータスクリストを区別することなど、私のタスク管理手法と共通する部分が多く、興味深く読みました。

 紹介した記事は、「自己管理のベーシックレシピ」と題する連載の第4回目の記事ですが、以前の記事も非常に勉強になる内容でしたので、興味のある方は、是非お読みになることをお勧めします。