第1 文章作成の3ステップ
文章は意識的・無意識的に次の3ステップを辿って作成されます。
つまり、
1.素材を集める
↓
2.アウトラインを作る
↓
3.推敲する
です。
今回は、そのことについて、先週書いた記事『弁護士の整理法 ~書類探しの手間を省く3つのルール~』の作成過程を通じて紹介していきたいと思います。
第2 【ステップ1】素材を集める
1 メモを取る習慣
まず、文章を書くためには、普段から素材を集めておくことが肝心です。そのためには、月並みではありますがメモを取る習慣が重要となってきます。
社会人であれば、メモ帳を常に携帯するように指導されるはずです。手書き派の方はもちろん、そうでない方にとっても、電子機器の使えない場面ではメモ帳による記録が素材集めの中心となってきます。
また、スマートフォンやタブレット端末の普及した現代では、電子機器による記録が主流となっています。特に、電子機器では、文字による記録だけではなく、写真や動画による記録が可能であり、ブログのような表現媒体ではこうした非文字情報による記録が重要となってきます。
2 具体例
「弁護士の整理法 ~書類探しの手間を省く3つのルール~」を書こうと思ったきっかけは、野口悠紀雄『「超」整理法』(中公新書)を読んでいる過程で整理法についての考えがまとまってきたためです。私は同書の読書メモをEvernoteに残しています。
“クリアファイル内でも「押し出し方式」を実践する”
“整理の目的は検索することにある”
そして、記事を書くに当たっては写真があったほうがよいと思い、デスク周りの写真を撮影しておきました。
このように、一つの記事を書くに当たっては、事前の素材集めが必要となってきます。
第3 【ステップ2】アウトラインを作る
1 Wordでアウトラインを作成する
このようにして文章を書くための素材が集まったら、思考の体系に沿って各素材を整理していきます。この作業がアウトラインの作成です。
アウトラインとは、文章の構成のことをいいます。
プレゼンなどで他人に何かを説明するとき、事前に箇条書きのようなメモを作成する人は多いと思います。これを文章作成の際にも徹底して行うということです。
アウトラインは手書きで作成しても構いません。しかし、後にコピー&ペーストすることを考えると、デジタルツールで作成するほうが便利です。
そして、アウトライン作成ツールとして私が薦めるのが、Microsoft Wordのアウトライン機能です。「表示」タブの「文書の表示」の中にある「アウトライン」をクリックすると、表示が切り替わり、アウトライン機能が起動します。
2 具体例
以下に掲載するのが『弁護士の整理法 ~書類探しの手間を省く3つのルール~』のアウトラインです。
ところどころ単語のみになっていたり、ですます調になっていない部分がありますが、記事の骨格は既に出来ていることがわかります。
第4 【ステップ3】推敲する
最後に、出来上がったアウトラインを文章の形に完成させていきます。このステップを推敲といいます。
推敲は、コツらしきコツの存在しない地道な作業です。ひたすら文章を読み返して、無駄な部分を削ったり、論理的につながっていない部分を補っていきます。
その作業を終えたとき、ようやく一つの文章が完成します。
第5 まとめ
以上が文章を書くための3ステップです。
なお、実際には、【ステップ1】“素材を集める”と【ステップ2】“アウトラインを作る”は同時並行的に行われるのが通常であり、そのほうが効率的といえます。この点は、仕事の進め方の基本である「仮説思考」とも関係する部分なので、いずれ詳しく記事にしたいと思います。
文章を書く全ての人の参考になれば幸いです。それでは、今回はこのへんで。
第6 参考文献
1 素材を集める
2 アウトラインを作る
バーバラ・ミント『新版 考える技術・書く技術』(ダイヤモンド社)
倉島保美『論理が伝わる世界標準の「書く技術」』(ブルーバックス)
3 推敲する
4 アウトライン作成ツール
Android・・・ハルナ アウトライン free - Google Play の Android アプリ
iOS・・・Outline Creator - iTunes
両方・・・WorkFlowy - Organize your brain.
■今週の注目記事
今回から毎回の記事の最後に私が注目したWEB記事を紹介していくことにします。
第1回目の今回に紹介するのは、愛読させていただいている「No Second Life」の記事。人が変わるためにはどうすればよいのか?我が身を振り返って考えさせられる良記事でした。